〝エッ!オッ!〟と思って貰えたら

 以前、落語家の故桂枝雀が、「落語は緊張と緩和が重要」と語っていたのを覚えています。

 昨日、ラグビー日本対ニュージーランド戦をテレビ観戦しました。スポーツは〝筋書きのないドラマ〟で、落語ではありませんが、いつの間にか緊張と緩和の渦に巻き込まれている自分に気付きました。

 ハーフタイムに、唐突もなく頭をよぎったのは、芝居は〝筋書きのあるドラマ〟で、稽古を重ねるうちに、私は起承転結を自ずと把握して、慣れも出るし台詞にばかりに気が行くせいか、初見で物語を読んだ際に感じた新鮮な心の機微を現すことがおろそかになっているのでは?との思いです。

 改めて自身が観劇に出向いた時を思い起こせば、一期一会の物語に注ぐ私の目には、散りばめられた台詞や演者の動きに、〝エッ!オッ!〟と、良い意味で裏切られ驚かされる展開を感じることが多々あります。

 そう考えると、〝筋書きのあるドラマ〟を〝筋書きのないドラマ〟のように演じることが出来るなら、自然で新鮮なインパクトを与え、観客の耳目を集める肝の一つになるのだろうと考えました。

 テレビ桟敷で、画面から伝わる競技場の熱気も感じつつ、手に汗をしながらてんでに転がるラグビーボールの様な〝筋書きのないドラマ〟を堪能したウィークエンドの午後でした。            アベ

芝居を観ない男たち

 芝居を観に行くと、どこもかしこも女性だらけで男性はちらほら、特にミュージカルは女性優先車両みたい。6月の公演で私が扱ったチケット20枚中男性は4枚。男性は観に行くと言っても実際は来ない方が多い。

 そこで疑問が生じた、「男性は何故芝居を観ないのか」。かく言う私も、若い時は芝居に関心がなかった。日本のフォークロックにハマッていた。これは少数派だと思う。多分男性は野球・相撲等のプロスポーツだと思う。結果が数字ではっきり表せる、白黒はっきりしたものならいいのだ。

 昔、下北沢演劇祭区民劇団で「ロミオとジュリエット」をやった。場面毎に役が替わる、ロミジュリが3組同時登場。元かんじゆく座員曰く「何が何だかわからない」。芝居経験者でもこんなもの。
役者も女性が多いので男性は希少価値でいい役がもらえる。それにひきかえ、男性の役を女性がやらなければならないことだってある。男性たちを芝居に目を向けさせるには、どんなことをしたらよいか?

 因みに私は、50代で妻に誘われて行ったのが始まり。劇場で沢山もらうチラシを見ると興味を引くものがある。底なし沼に嵌まるようにいつしか、、、、劇場の多い東京だから可能だった。そして小劇場で、目の前で熱演する俳優の汗を観ているうちに、錯覚を起こしてしまった。私にもできると!もうあれから16年も経っている。            ヤマ