以前、落語家の故桂枝雀が、「落語は緊張と緩和が重要」と語っていたのを覚えています。
昨日、ラグビー日本対ニュージーランド戦をテレビ観戦しました。スポーツは〝筋書きのないドラマ〟で、落語ではありませんが、いつの間にか緊張と緩和の渦に巻き込まれている自分に気付きました。
ハーフタイムに、唐突もなく頭をよぎったのは、芝居は〝筋書きのあるドラマ〟で、稽古を重ねるうちに、私は起承転結を自ずと把握して、慣れも出るし台詞にばかりに気が行くせいか、初見で物語を読んだ際に感じた新鮮な心の機微を現すことがおろそかになっているのでは?との思いです。
改めて自身が観劇に出向いた時を思い起こせば、一期一会の物語に注ぐ私の目には、散りばめられた台詞や演者の動きに、〝エッ!オッ!〟と、良い意味で裏切られ驚かされる展開を感じることが多々あります。
そう考えると、〝筋書きのあるドラマ〟を〝筋書きのないドラマ〟のように演じることが出来るなら、自然で新鮮なインパクトを与え、観客の耳目を集める肝の一つになるのだろうと考えました。
テレビ桟敷で、画面から伝わる競技場の熱気も感じつつ、手に汗をしながらてんでに転がるラグビーボールの様な〝筋書きのないドラマ〟を堪能したウィークエンドの午後でした。 アベ