ついに最終稽古の日がやってきました。
もがいても、慌てても、もう最後。
毎日一進一退。クリアしたい課題を山積みにしながらも、稽古場を後にするのですが、正直、座員たちは体力限界と闘いながら、よく頑張っています。今年はいつも以上に早く稽古が進みました。私の個人的な理由で、稽古が1ヶ月遅れることを鑑みて、前倒しでスタートしたため、ほぼ5ヶ月、緊張感の中にいたような感覚だと思います。
午後に行う通し稽古では、その都度タイムを計り、余計な部分をそぎ落として、全員の演技を「信じられるもの」にしていく作業を重ねてきました。
お客様には信じられないことかもしれませんが、最終稽古と言いながら、創作過程でまだまだ発展途上なことを残しながら本番の幕を開けるのです。千秋楽まで模索し続ける、千秋楽になっても完成しきることはない、そんな創り方をしています。
今回は旗揚げから四年目に公演した作品のリメイクです。いわば再演ですので、私も今一度、この作品を今年発表する意味や、自分にとってのモチベーション、劇団にとっての意義などを見直す時間を得ています。まだ足りない、もっとできる、と思いながら稽古場にいられた時間は、本当に貴重で、演劇をこよなく愛するものにとって、至福の時間だったと思います。そして苦しい時は、「人生は暇つぶし」というフレーズを心の中で繰り返すのです。。。自分が積み上げてきたものに、こだわり、そして手放す。それは、時間という流れの中で課せられた宿命のように思います。この「方舟は飛沫をあげて」という芝居の中で描いていることでもあります。
今日、稽古場を後にするとき、この空間に34人の感情が渦巻いたこと幸せに思うことでしょう。劇場でまた、この芝居を介してたくさんのお客様と出会えることを楽しみにしています!鯨エマ