表現模索の旅の途中

新たな演目に向けた稽古は、エマさんから、「今回、台本は皆さんの即興で作っていきます。シーン構成を元に、どんどん取材を進めてください。」との言もあり、その趣旨に沿って作り込みが続いている。

この稽古に臨んで、私はこう思う。今回は具材(相関図・配役・シーンイメージ)が用意されたキッチンを前に、自らレシピを考案することを任されたシェフのようだと!

予め決められた台詞に縛られることなく、想像力を発揮して、具材の特徴をまず吟味。そして、その具材に適した調味料となるであろうバックグラウンド(役の個性・相手との関係性・吐き出す言葉の持つ意味と目的・各シーンの場所の想定…etc.)を熟慮しつつ、ある意味自由にストーリーの創作に関われていることを実感。壁は高いが楽しさを覚える。

今回稽古をしていて、ふと思い出すのは、一昨年暮れの絹川先生の〝インプロ〟と、即興劇に近かった〝ゴロロ〟登場の〝雨の日は嫌いです〟だ。

当時の稽古場日誌(2021年12月)を紐解くと、 「インプロワークショップに参加して」の表題で、小春ちゃんが、〝芝居に必要なエッセンス〟だと感じたこととして、「① 決められたスジやセリフがないので、まず相手のいうことをよく聞く。② それに柔軟に対応する。③ アイコンタクトや体のちょっとした動きも表現を助ける。④ 思いがけない状況になっても否定的にならず、その場を拾い上げて前に進める。…etc.」

そして、「『のぼるとゴロロ』の出会い」の表題で、アキさんが、「ゴロロは何を表現すればいいのか、のぼるの何を理解すればいいのか『そうだ身も心もゴロロにならなければ。』」

と、各々述べている点に、私も改めていたく共感。台本というレシピがない今だからこそ、経験出来る貴重な時間。書籍や過去の実体験から、即興の世界でも発揮出来るリアリティーある表現模索の旅の途中ってな感じかな!今。

アベ

2023年5月 第16回公演決定!

5月25日〜28日「タイトル未定」(総がかり検討中!)
中野ザ・ポケットにて新作オリジナル作品

配役が決まり、5月に向けて稽古が始まりました。
水曜日と金曜日チームのメンバーは、少し入れ替わりがありました。
男性が増えております。
今回は男性が主役です。

詳細が決まり次第、ホームページやSNSで発表いたします。
是非スケジュールをあけてお待ちください!

2023年稽古始めは初詣から!

今年も稽古始めの朝に、かんじゅく座がある四谷の須賀神社で初詣をしました。

水曜日チームと金曜日チームが、それぞれ稽古日にお参りしました。

この須賀神社の階段は、近年人気のアニメ映画「君の名は」の聖地とのこと。

「君の名は」のことを話すと、シニア劇団なもので有名なラジオドラマと勘違い続出でした。

今年の上演予定の芝居は、ただいま演出家と劇団員で意見交換しながらじっくり創作しています。

今年もかんじゅく座をよろしくお願いします。

 

7月からの新座員募集中

かんじゅく座では、7月からの新座員を募集しています。
新人の方も歓迎します。
水曜に活動するスイカチームと金曜に活動する金太郎チーム、どちらも楽しい仲間が待っています!

 

お気軽にお問い合わせください。
メール:info@kanjukuza.com
電話:09080836888(鯨)

インプロワークショップに参加して

 稽古場でインプロ(improvisation=即興)のワークショップが2回にわたり開催された。講師はインプロの第一人者、絹川友梨さん。滑舌よく、キラキラした瞳、ひまわりのような方。

 さて、インプロとは何ぞやと白紙の状態で臨んだ私。鶴瓶の「スジナシ」みたいな即興芝居をやらされるのかと思いきや、素人のシニア集団にいきなりそんなことは要求されません。多種多様なエクササイズが用意され、その中から受講者に合うもの、誰でもできるものがチョイスされ、あれよあれよという間に始まっていました。

 たとえば、最初は輪になって「あなた」といいながら誰かを指す。指された人が別の人に「あなた」。そのうち「あなた」と相手の名前を互い違いに入れていく。集中力を必要とされながらも何とかクリアできる練習。

 続いて次から次へと課題が提示される。たとえば、3人一組で、子どもの頃の遊びの風景をつくる。観客が理解したら、動きをどんどんつけていく。各グループが違う遊びを表現し、ああ、こんなことやっていたなあと思い出に浸るシニア続出。

 友梨先生は、ひとつのポーズを指し「後ろを向いてみて」「手の形をグーからパーにして」など、ほんのちょっとのポーズの違いが、見ている人に違うイメージを与えることをさりげなく指摘。

 また、別の課題では、ふたりの会話。一方の人にお題が与えられる。「お金を返してもらう。」もう一方の人はお題を知らない。どのようにもっていけばお題を達成できるか考えながら話を展開していく。私は何も知らず、喫茶店で待ち合わせした友達役。

 「久しぶりね」から始まり、「ここ、前にも来たの覚えてる?」「そう?」「前来たときケーキセット食べたじゃない」「そーか、思い出した。美味しかった」「あのとき、現金の持ち合わせがなくて、私がカードで払ったの」「あら、やだ、じゃあ今日は私がおごるわ」「それがね、あのケーキセット無くなっちゃったらしいわ」「まあ!じゃあ今お返しするわね。千…いくらだっけ?」大成功!お金を返してもらえたグループとダメだったグループがいて笑いの渦。

 その他にも趣向を凝らしたエクササイズが続き、そんな中で私が感じた”芝居に必要なエッセンス”は

① 決められたスジやセリフがないので、まず相手のいうことをよく聞く。

② それに柔軟に対応する、

③ アイコンタクトや体のちょっとした動きも表現を助ける。

④ 思いがけない状況になっても否定的にならず、その場を拾い上げて前に進める…etc.

 おそらく、もっともっといろいろなことが学べるんだろうなと思いながら、初めてのインプロ体験は終了した。体の芯が暖かくなるような、楽しい時間だった。            小春

演出家の視点に立って

 11月3日“金太郎チーム”の稽古で行われた“演出席体験”を実際に経験した、トモさんとマリリンの感想です。

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 人間は、年を取るごとに自分と似たような人とばかり接しようとするため、自分とは全く違う環境にいる人との関わりは、新たな気づきを与えてくれる。

 まさに、今回の演出経験は、観る側と演じる側と全く別の環境での体験だった。当初、演出とは演技指導が主で、後は、それなりと思っていたが、とんでもない話しで舞台の全体を通して、観る側がどう感じるかであり、はては、小道具の置き方や使い方にまで気を配り、見逃さない。

 これは、役者にも通じる話しだ。私が、初めて劇場の舞台に立った時のこと、メガネを出してノートを見る場面があった。当然、メガネケースから出すはずだったが、私は忘れることを恐れて、初めから服のポケットに仕込んでおいて、そこから直に出して演技を始めた。それを、後から注意されたのを思い出した。            トモ

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 エマさんが「演出をやってみたい人?」と聞いた。私はちょっと躊躇したが・・・そうだそうだ、年間に何本も芝居を観ているし、観劇後によくアンケートも書いたし、おっおーやってみたいと立候補し、MさんとTさんの芝居の組を観ることになった。いつもはエマさんが位置する椅子に、台本と鉛筆を持ち座った。何だかとてもわくわくし緊張したが嬉しかった。

 役者が芝居を始めだして、メモをしようとメモしだすと、その数秒間、芝居を観る方がお留守になってしまうのはよくないし・・・あっあれ~目が四つあったらなぁ・・・と。(演出家は忙しい。だから劇団によっては演出助手をつけている所もあるようだ。)

 「芝居が面白くなるようにアドバイスを。」と言われ、今まで受けた色々なワークショップが頭をよぎったが・・・拙いアドバイスをして、もう一度役者が演じてみると、数パーセントでも、私の言ったことを一生懸命にしているその姿に、私は胸が躍った。

 芝居は男の子二人のやり取りだが、MさんもTさんも台詞のある一瞬は、男の子を演じているという自覚があるように見受けられたが、多分次の台詞を考えている時とか、役としてでなく本人同志のテレがあるような時は、その役に見えなかったように感じた。一瞬に見えた役を持続するには・・・?集中力なのか・・・?役に入るということは、どういうことなのだろうかと考えさせられた。

 人が、私自身の動きたいように演じてくれたら、イメージ通りになったら・・・こんな面白いものはないかもしれない。ところが、人はそう簡単にはうなづいてくれなかったり、反発したり、又逆に自分が思った以上の事を見せてくれたりしたら・・・演出家は大変だが、面白そうである。これから芝居をするにも、常に観客からどう見えるかを考え、役になりきる為にも、もっともっと工夫して演じていかなければと思うとともに、演出というものも勉強したくなった。貴重な良い体験楽しかった!

 添付の写真は、今秋初挑戦した日本画。見直してみてふと思った・・・さしずめ絵画も絵の具が演者で、構図や配色を考える私はある意味演出家?表現するとは演劇・絵画・音楽…etc.どれをとっても、相通ずるものがあるのだなと・・・          マリリン
 
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音感・“歌カン”・リズム感♪

 劇中歌は舞台を彩る大きなスパイス!そこで、亀田増美先生を迎え実施された歌の強化練習“歌カン”(カンはかんじゅく座の“カン”)の第2クールに参加。今回は、日頃ミュージカルの稽古を積み歌唱には一日の長がある姉妹劇団“半熟座”の皆さんと合同で。

 課題曲は、私の好きなスターダストレビューのデビュー曲“シュガーはお年頃”。初めて耳にするこの曲、鑑賞するだけならばブギーのリズムも軽やかに、お洒落でご機嫌。しかし、手にした楽譜には♯♭♮がそこかしこ、かつソプラノ・メゾソプラノ・アルトの三部構成に目は白黒。私にとっては難曲だぁ。

 歌えるかな?の思いの中、まず講師から、歌に臨む心掛けが!

◼️筋力維持を心掛ける(⇒一日一回心拍数を上げる)

◼️首の筋肉を伸ばす(⇒高音が出る)

◼️椅子に座る時に腰を立てる(⇒背もたれに寄り掛からない)

◼️声を鼻腔に響かせて飛ばす(⇒怒鳴るのではなく、通る声、届く声が出る)

 その後、「さぁさぁ元気に楽しく、グルーヴ感(ノリのよさ、一体感、高揚感、などを指す)を出して行きましょう。」との明るい発破!

 「この曲がコジャレタ雰囲気を醸し出すのは、半音の多用とリズムを裏拍で取るところ」…って、ウ・ラ・ハ・ク?

 4分音符が①②③④と並んでいれば、●②●④と、●の箇所で手を打つのが表拍(これは宴会で、揉み手をしながら叩いていた手拍子につき、私にはお手のもの)。それに対して①●③●と打つのが裏拍。これが意外に難しく、左右交互に足を移動するドリフターズ風のステップを全員で踏みながら手を叩き、身を持って習得に励む。

 「低音が曲を引き締める」との講師の言葉に、私はアルトに挑戦するも、ハモリの部分で、音が~!音が~!取れずに四苦八苦。それでも最後は自然に身体も揺れ始め、心地よく発声し心身ともにイェ~イとグルーヴ!・・・したつもりだが…

 この経験、いつか舞台にも活かせるだろうとの思いとともに、一朝一夕には体得出来ないことも身に染みた。日頃からリズムを意識した生活を心掛け、地道に研鑽あるのみと知る。

 座員にも、参考にネット検索でもして原曲を聴いて貰いたい。コロナ禍の閉塞感さえしばし吹き飛ばし、明るい気分になること請け合いだ!(私はと言うと…まだまだ、披露出来る域にはあらず。)            アベ

稽古で「ハッ!!」

 年明けから始まる本公演の稽古に先立ち、事前準備として最近は“短編二人芝居”の基礎稽古。

 8組がペアを作り、ある雨の日に小学生の子供部屋で起きる、少年と突然来訪して来る子供とのやりとり。

 台本が配布され本読みの後、各ペアで、舞台となる部屋の間取りや台本上は登場しない主人公の母親等の人間像を検討し、即、立ち稽古へ。

 エマさんからは、台詞を正確に発することにこだわらず、物語の本筋を外さなければ、アドリブでも構わないとの指示。演者達の解釈に任された演技。考え抜いた思い思いの表現を、皆悩みながらも楽しんでいる。私自身もイメージを膨らませていく面白さと難しさを感じつつ、毎回自分なりの工夫を重ね演じている次第。

 僅か6頁の台本ながら、その中には、母親が留守の自宅に雨の中一人帰宅した少年の気の重さ~突然来訪する見ず知らずの子供との出会い~驚きととまどい~二人の親密化~そして別れ。と、いくつもの心理的な変化が織り込まれている。

 各ペア真剣に取り組む中で折々に飛び出すアドリブが受け、時には笑いも起きたりするが、自身のそれと比較しながら興味深く鑑賞しあう。

 全ペアに対しエマさんが最後に発する以下のアドバイスから、この稽古のテーマが明確に。

◼️天候等物語の背景と気持ちをリンクさせる。

◼️心と体と二人の距離。驚きと仲良しの距離感の変化を意識する。

◼️エアーの演技も、リアリティーを忘れずに。

◼️上手・下手の袖の先を想像させる。

◼️勉強机や窓の位置等、部屋の広さや生活感を考慮する。

◼️子供の仕草と、その置かれた環境を柔軟に想像する。

◼️小道具等も用意して、実際に物を出すことによって生じる“間”の重要性を意識する。

◼️流れの中で、自然発生的に湧き上がる言葉を大切に、新たな発見に繋げる…etc.

 これらのアドバイスを聞き、私は「ハッ!!」。これまでは、本番に向け台本にある台詞を発することが脳裏を占め、小道具に関する工夫や対峙する相手との距離感まで演出家のお膳立てが整えられている中で、私は近視眼的に受け身一辺倒だったのではと思い知った。

 この基礎稽古を通じ、舞台がリアリティーを持ってどう見えているのか、もっと能動的に俯瞰しながら稽古に臨もうとの思い、改めて!            アベ

定時制高校での公演を終えて

 まだまだ公演したいところが沢山ある!横浜の定時制高校で公演を終えた後の率直な感想です。まだまだ知らない社会や、違う立場の人、関わったことのない世界の人たちが、ほんの少し離れたところに沢山いるのですよね。そういう人たちと出会いたい、関わりたい。そのきっかけは、いろんな手段があるかもしれないけど、わたしには演劇しかないなー、と感じました。

 学校での公演は、校長先生、担任の先生のチェックが入るので、容易ではありませんでした。それでも、やりとりを通して知り得た現実を、忘れたらいけないと思うのです。

 今回、台本の改稿を頼まれた時、正直びっくりしたし、それでいいのだろうかと悩みました。でも、相手の立場をよく知らない状態で、公演を諦めなくて良かったと思っています。常に自分を疑い、作品を見直す勇気を持つべきだと、教えていただいた公演でした。             鯨