年明けから始まる本公演の稽古に先立ち、事前準備として最近は“短編二人芝居”の基礎稽古。
8組がペアを作り、ある雨の日に小学生の子供部屋で起きる、少年と突然来訪して来る子供とのやりとり。
台本が配布され本読みの後、各ペアで、舞台となる部屋の間取りや台本上は登場しない主人公の母親等の人間像を検討し、即、立ち稽古へ。
エマさんからは、台詞を正確に発することにこだわらず、物語の本筋を外さなければ、アドリブでも構わないとの指示。演者達の解釈に任された演技。考え抜いた思い思いの表現を、皆悩みながらも楽しんでいる。私自身もイメージを膨らませていく面白さと難しさを感じつつ、毎回自分なりの工夫を重ね演じている次第。
僅か6頁の台本ながら、その中には、母親が留守の自宅に雨の中一人帰宅した少年の気の重さ~突然来訪する見ず知らずの子供との出会い~驚きととまどい~二人の親密化~そして別れ。と、いくつもの心理的な変化が織り込まれている。
各ペア真剣に取り組む中で折々に飛び出すアドリブが受け、時には笑いも起きたりするが、自身のそれと比較しながら興味深く鑑賞しあう。
全ペアに対しエマさんが最後に発する以下のアドバイスから、この稽古のテーマが明確に。
◼️天候等物語の背景と気持ちをリンクさせる。
◼️心と体と二人の距離。驚きと仲良しの距離感の変化を意識する。
◼️エアーの演技も、リアリティーを忘れずに。
◼️上手・下手の袖の先を想像させる。
◼️勉強机や窓の位置等、部屋の広さや生活感を考慮する。
◼️子供の仕草と、その置かれた環境を柔軟に想像する。
◼️小道具等も用意して、実際に物を出すことによって生じる“間”の重要性を意識する。
◼️流れの中で、自然発生的に湧き上がる言葉を大切に、新たな発見に繋げる…etc.
これらのアドバイスを聞き、私は「ハッ!!」。これまでは、本番に向け台本にある台詞を発することが脳裏を占め、小道具に関する工夫や対峙する相手との距離感まで演出家のお膳立てが整えられている中で、私は近視眼的に受け身一辺倒だったのではと思い知った。
この基礎稽古を通じ、舞台がリアリティーを持ってどう見えているのか、もっと能動的に俯瞰しながら稽古に臨もうとの思い、改めて! アベ