狂言入門編

 大蔵流狂言方川野誠一氏を迎え、四週間にわたり手ほどきを受ける狂言講座も残すはあと一回。

 700年の歴史を有する世界最古の芸能〝狂言〟の実技に初めて触れて、多くを学んだ。

◼️稽古が緒についた頃、筋肉ではなく骨格に覚えさせるようにと言われた〝直立し膝を脱力のうえ上半身を前傾。骨盤を床と平行にして背中は直線、両手は自然に鼠径部へ〟の姿勢(かまえ)が、狂言師のあの独特の動きになること。

◼️そのかまえで、下腹部を膨らませて下へ息を吐く〝横隔膜呼吸法〟。日本は下へ(地に)、海外は上に(太陽に)吐くという、洋の東西による呼吸法の違い。

◼️狂言は喜劇で、その発声における留意点は、口角を上げ笑顔で謡うことが大切で、下に息を吐きながら遠くに声を届ける。

◼️足の下に一枚紙を敷いたつもりになって、爪先重心でその紙を左足からスッと前にずらして止めるイメージ。爪先重心を意識すると、それに連れて自然に右足が前に進む感覚が摺り足。

◼️扇はおめでたい物で常に上を向き、肘も落とさずに舞う…etc.

 新たな世界への挑戦に、心なしか張りつめている稽古場で、折に触れ飛び交う和子さんと山さんの駄洒落に対し、講師から「それが正に狂言の基礎!」の称賛の声(笑)

 3回の稽古は経たものの、私は未だに骨格が覚える域には達せず、筋肉で体勢を維持しているからか、全ての動きや発声がぎこちない。この稽古を通して、私は良い意味での脱力が下手であることを再認識。これは日頃の自身の演技にも繋がる大いなる気付きであった!

 さて、いよいよ最終回は演目「盃」の謡と舞を通すのみ。見事に舞えるか?舞えないか!
           アベ

狂言・声の迫力に圧倒

 待ちに待った狂言の稽古が始まった。狂言の稽古が終了する頃には、私も野村萬斎になっているに違いないと夢見ながら臨んだ。講師は川野誠一先生。私より落ちるけど金曜チームのあべちゃんよりは男前。

 先ずは足袋と扇でご挨拶、そして狂言の立ち姿に発声法と続く。先生の張りのある声は内緒話が難しそう。そのよく通る声に先ず驚かされ、その迫力に圧倒される。それは、狂言の筋肉を使わないと出来ない「かまえ」や「型」がそうさせるのかもしれない。

 稽古が進むにつれ、緊張していた座員の顔にもようやく笑顔とやる気がみなぎる。やがて講師の口移しでの和吟が始まる。なぞりながら体に沁み込ませるかのように唄っている座員たちはもう夢遊病者、いや立派な狂言師のようでした。

 和吟は音符が無く難しいと思いましたが、時間の経過とともに音がみえ景色がみえてきそうな予感がします。

 今は予感ですが、これをきっかけに能・狂言と同じように大切に継承されてきた日本の伝統芸術や技能を、もう一度改めて見直す機会になった今回の講義でもありました。                スイカチーム秋生