記録的な猛暑が去り、過ごしやすい気候に移ろいゆく中で、11月の出前公演を控えた稽古場の熱気は、日ごとに高まっている。
今年の出前公演も、水曜チームと金曜チームが手分けして、児童館、学童クラブ、区民ひろば、夜間中学、保健センター、高齢者施設など、バラエティーに富んだ6ヶ所へ足を運ぶ。
毎年のことながら上演場所により、観客は子どもたちから高齢者まで幅広い。今年は、珍しく両チームで別々の演目を手掛けることとなった。それぞれ、明治生まれの〝小川未明〟や大正生まれの〝新美南吉〟の作品に静かに向き合っている。
いずれも舞台は日本が大きく変遷を遂げた近現代。「明治は遠くなりにけり」の言のとおりで、和洋折衷の装いに頭を悩ませる座員の姿が、そこここにあった。
日頃から感じていることだが、物の本にも、「演劇を含めたエンターテイメントとは、単に楽しいだけでなく、感情を揺さぶり、日常を忘れさせてくれるような体験そのものを価値として提供する。」とある。
幅広い年齢層の観客に、近いようで遠い「文明開化の時代の〝匂い〟」が届くような、晩秋のエンターテイメントを、今年も届けられれば幸いである。
アベ




