シングルキャストの妙味

 目前に迫った『ねこら!2020』、今回私はシングルキャストとして出演することとなった。ダブルキャストは知っていたが、「シングルキャスト、それは何?」だった。

 ダブルキャストは一つの役を二人の役者が演じること、シングルキャストは一つの役を2チーム以上の中で一人の役者が演じること、だった。頭の中の用語集にまた登録。

 シニア劇団ならではのアクシデントに備え、これまではいつもダブルキャストだった。だがこのコロナ禍、立場上やむなく不参加の方や、体調を考慮して休団する座員が相次ぎ、最終的に7名がシングルキャストとなった。

 ダブルキャストの効用は、9月24日の稽古場日誌、「演者目線と観客目線と」で、アベちゃんが記載している。

 さて、シングルキャストとして稽古に入ってみると、なかなかに難しい。同じ台本、同じセリフが同じ物語世界を織り成していくはずが、なぜか異なる世界が展開して行く。「なぜこんなにも違って来る?」。とりわけ相手役は対照的なお二人で、「性別、動き、台詞回し」すべてが違い、思わず山口百恵の歌の歌詞を口ずさんでしまう。

 そうか、「同じ役だから役者が別でも同じはず!」という私の思い込みが間違いなのだ。個性の異なるお二人だからこそ、それぞれの組み合わせによるハーモニーを奏でて行けるのだ!

 気づいてみると、これは得難い経験を積めるまたとないチャンス。協同作業を積み上げて、独自のペア表現に取り組んで行きたい。2チームの違いを楽しみながら、両チームで演技できるシングルキャスト。とても美味しい思いをさせていただいている。

 稽古のたびに新たな発見と驚きが待っている、その稽古ができるのもあとわずか。皆で手を携えて、公演に向かい合いたい。
    水曜チーム やっこ

【お知らせ】
11月8日14:00〜
「ねこら!2020」動画配信します!

https://youtu.be/Lgec46PG7Fo

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