い~しや~き芋~🎵

 第15回公演「あの日のトンネル」。やきいも組・みかん組、皆の思いが結集して無事終演した。

 60年間を行き来する物語の中で、今回の役どころは焼き芋屋の小沢。30歳と90歳とを衣装の汚しと老けメイク、そして腰の角度で演じ分ける初めての体験に、嬉々として臨んだ。

 配役が発表された当初の思いは、「ウッ、出番少なっ!」が正直なところ。しかし、台本を読み込み稽古を重ねて行くうちに、短い台詞の中に物語の標となるキーワード… “トンネルを掘って脱出” “ベルリンの壁” “上に言われてやっているんだ” “希望のトンネル” “生きたいところで生きる” …が散りばめられていることに、遅まきながら気が付いた。

 公演中は、ほぼ全編を上手奥の闇に控えて、スポットライトで逆光の舞台を躍動する仲間達を見守りながら、ふと台本の表書きにあった各人物像の小沢の欄 “実はいちばん息が長い” を思い出し、名実ともにこの町の出来事を知り尽くした “焼き芋屋の親父” に成りきろうとしていたような気がする。

 そう、この親父は全てお見通しなのだ。だから、90歳の身に寒さがこたえるようになって、引退の潮時か?と思いながらリヤカーを押していたあの日、60年振りに会った “登” を見ても、「よっ登。どうした、しけた面しやがってよぅ!」と、また遠いあの日のように心が呟いていたっけ。            アベ

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