子ども食堂レポート

 4月6日桜吹雪が舞う中、「要町あさやけ子ども食堂」を見学させていただきました。住宅地の一軒家を改装したものです。

 代表の方がおっしゃるには、「それまで働いていた玩具の会社を辞め、自分で会社を立ち上げ、スポーツと遊びの間を埋めるおもちゃ作りに取り組みました。その中でも、けん玉は、元々職人が手作りしていたものを、会社で作ったのですが、初めは全く売れず苦労しました。そのうち徐々に施設や学童から広がっていきました。職員の目が届く中で、新しい技ができるようになるとレベルが上がっていく単純だけれど達成感を得られるけん玉が注目されたのです。仕事は順調だったのですが、定年を迎えたとき妻からの『貴方も社会貢献をしたら?』の言葉が、今に続いているのです。」とのことです。

 奥様は友人と始めたガレージセールから手作りパンが評判を呼び、それを路上生活の方々に配るボランティアをしていました。ところが、代表の方が定年を迎え、奥様の一言で一緒に活動をしようとした矢先。ガンであっけなく亡くなりました。奥様に教えられたパン作りもなかなかうまくいかなかったのですが、ある時子ども食堂を知り、これならできるのではないかと立ち上げました。ところが亡くなった奥様の友人たちが次々集まり今では「乗っ取られました」と笑いながらおっしゃっていました。

 ボランティアのモットーは
“好きな時間に・好きなことを・楽しんで!” との考えだが、だんだんと「誰かこの時間できる人いない?」「誰かこれやってくれる人いない?」ということが出てくる。そんなときは「僕がやるんです」とまた笑顔。途中スタッフが代表の方のところに確認に来られたとき「70点でいいよ」と声をかけられていたのも印象的でした。

 困っている人を対象とし手厚くするのが福祉。それは線引をすることでもあるが、そうではなくグレーの人たちがたくさんいる。今は子供の6人にひとりは貧困と言われているが、それはアフリカなどの絶対的貧困ではなく、平均的な所得の半分以下の所にいる人たちが線引から外れる。

 子ども食堂はテレビでも取り上げられたことから行政、企業からも注目され補助金や寄付と300円の食事代で運営している。タレントのヒロミとタッキーが出演したテレビ番組で建物のビフォーアフターの改装をしてもらったプレイルームやリビング、テラスなどとても居心地が良い。 今は食材を配っているが、ボランティアの熱意で何か作ったものも同時に提供していて、当日は焼きそばが提供されていました。

 「食材を取りに来る人は、食材がほしいからだが、食堂をやっているときは、そこで食事を食べたいからやってきた。」コロナ禍の影響の中でも、人との繋がりを大切にする様子も伺えました。

 他の子ども食堂から「お金のこと」「ボランティアが集まらないこと」「来てほしい子供が来ないこと」を相談されるとのこと。「お金のことは別として、ボランティアは、集まらないのではなく続かない。それは来てもやることがないから。楽しくないから。そのため、あえてボランティアさんにやっていただく仕事を作っておき、そこから輪に入れるような配慮をしている。子供については来たい子が来れば良いと想っている。」料理長以外、係は決めないというのもそれぞれの自主性の上にある自由な活動だからなのだと感じました。

 13時に伺ったときは春休みなので高校生や、高齢の方も大勢ボランティアとしてこられており、その中で小学生の男の子もエプロンにバンダナをつけ一緒に参加していました。15時の配布時間には行列ができており、皆さん焼きそば、野菜、石鹸、牛乳、雑貨などを受け取って行かれました。子供連れの比較的若いお母さん方が多かった印象です。30分ほどで焼きそばがなくなり終了。見送るスタッフも「次は20日だよ!また来てね!」と笑顔で見送っていました。気負いも押し付けもなくみんなが楽しんでいると感じました。

 食堂のときは17時から19時で(20時近くなってもなかなか帰りたがらないお子さんも。お母さんに促されてやっと帰る。)、対象は子供と子供連れの親子。高齢者が一人で来る事や、日中不登校のお子さんが来ると言うことはあさやけ食堂ではないそうです。

 ボランティアの方々に、なぜこの活動に参加しているのかお聞きするのを忘れました。次に行かれた方は、聞いてみてください。

 夕食は焼きそばを食べました。
           えみ

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