パントマイムは雄弁だ

さぁさぁ今年も夏到来!狂言講座を皮切りに、新年度がスタート。今回基礎稽古で、バーバラ村田先生のもと、私にとっては初体験となるパントマイムにチャレンジ。

まずは先生から、「パントマイムとは、表現を豊かにする方法で、壁や綱引き等〝無対象〟の物を表すこともあるが、身体一つで客の想像力と演者の想像力を融合させ、空間を表すものである。自分の身体を客観的に見ることは難しいが、この稽古を通じ自分の動きを知り、諸々気付きをして欲しい。」旨の説明を受け、いざ以下①~③を実践へ…

①手のひらを二分間でパーからグーへ。
《座員の感想》
⇒指がガクガクする。
⇒頭の中の秒数カウントと、手のひらの動きがリンクしない。

②通常歩行をして合図とともにストップモーションへ。次の合図で通常の歩幅をツーエイトカウントで一歩進むスローモーションへ。
《座員の感想》
⇒歩幅を調整するために、足を必要以上に高く上げている。
⇒足だけはスローモーションなのに、上半身は通常のスピードのままになっている。

③参加者を2チームに分けて、ランダムに書き出した名詞、動詞、形容詞、擬態語、をお題として、それに沿ったポーズや動きを相手チームが表現する。
《座員の感想》
⇒一つのワードでも表現は多岐にわたる。

①で、「指がガクガク動く」との感想に対して、「『緊張』もあると思うが、『自分が意識できていない部分』が無意識に動いてしまう、という方が近いように思う。ここまでゆっくりな動きだと、私でもやはり多少ガクガクっとなる部分はある。手のひらの開閉ひとつ取っても、身体というのはこんなにもままならない。自分の身体というものを、丸ごと意識するためのとっかかりとして、自分の目で見ることができて特別な筋力などが必要ない『手のひらの開閉』は、パントマイムの入り口として最適。」とのコメント。

確かにスローモーションでは、心身ともに安らいだ状態の時に出るアルファ波に包まれているかな?と、感じ、なんとなくヨガの瞑想に繋がるような感覚を覚えた。

②では、足の動きのみに集中する私や皆の動きに対して、先生のそれは視線や表情を含め身体全体が一体となり、合図があったから機械的に止まったのではなく、何かを見つけたから自然に止まったように映り、その視線の先に更にドラマが控えているように思えた。あぁ確かに、ストップモーションもスローモーションも、空間の空気を動かすということに気付き、加えて台詞に匹敵するほどの雄弁さがある点にも気付かされたのだった。

③では、お題に対する皆の表現や解釈の多種多様さが新鮮で、稽古場は笑い声に包まれた。この稽古をしながら私は〝喝采は星の彼方に〟の木枠のシーン、「喜び」「怒り」「絶望」「幸せ」の4ポーズを思い出したりもして…

気付き満載の充実のエクササイズ!パントマイムの奥深さを知り、今後の舞台に活かしていかなければ…の、思い新たの120分。来月に予定されている、二回目の稽古にも今から心踊る!

因みに、添付の写真は、お題〝芝居〟のストップモーションの一瞬。

アベ

下北沢デビュー

例年、中野の「ポケット」で上演していた5月公演。今年は、半径500mのエリアになんと10の劇場やホールがひしめいている「演劇の街」下北沢所在、1984年開館の「駅前劇場」での上演になりました。いよいよ、下北沢デビューです!

公演に先立ち、友人達に出状した案内にも、「今年は演劇のメッカ、下北沢での公演です。」と、少し自慢気にしたためたりして…

数多の演劇人の、夢や汗が染み込んでいるであろう歴史ある舞台。お客様の息づかいさえ聞こえてきそうなほど客席との距離が近い中で、A・B両チームが、交互に語り!踊り!歌った!今年の公演が終演しました。

今回の「喝采は星の彼方に」は劇中劇の群像劇。日頃の稽古場を再現しているような、ある意味ノンフィクション的なフィクション。構成台本をベースにアドリブを積み重ねて、座員達が個々に実感している、老い・ハンディ・人間関係等の人生経験を踏まえつつ創り上げた舞台。スポットライトの中で、皆のびのびと思いを表現したのではと感じています。

勿論達成感はありますが、我がAチームの演技を客観的に観るには、DVDの完成を待つしか、今のところ手はありません。そんななか、直接私が観劇出来た大千秋楽のBチームのそれには、「どっこい俺らは前を向く!」と、聞こえてきそうなシニアのパワーと息吹きが溢れていたのです。

公演を終える都度、舞台は総合芸術だと実感します。今回も作演出のエマさんを始め、作曲・振り付けの講師の方や、舞台監督・小道具製作・照明・音響・制作・票券・宣伝美術のスタッフの皆さんには、心からの感謝しかありません。

さぁ、また来年、一回り成長した姿で、この場に立ちたいとの意を強くしつつ、正直ホッと一息ついてる朝です。

                   アベ