初めての取材行

今夏、オールかんじゅく座混成のCチームが大阪での全国シニア演劇大会に出場しました。事情があり欠席した私は、酷暑の中稽古を続けて本番を迎える皆さんの頑張りを感じながら、居残り組としての私にも流せる汗はないのか?と、考えました。

思い巡らせているうちに、ぶち当たりました。来年の本公演のモチーフになる可能性がある夜間中学の実態を、私は全く知らないということ…

その時気持ちが動いたのです。〝百聞は一見にしかず〟と、ムクムクっと!(NHKのプロジェクトXのように…笑)。振り返れば、過去も役作りのために、子ども食堂や食肉市場、自然酵母のパン屋など見学したじゃないか。

そこで、無手勝流ながら東京にある公立の夜間中学へ取材行をしてみようと思い立ちました。各校が所在する行政区の教育委員会へのアプローチから始めて、それぞれの副校長とのアポ取りに成功。結果、延べ5校の直接訪問取材に至りました。

事前に質問事項をまとめてのインタビュー。実態把握には大いに役立ちました。しかし、門外漢として夜間中学に勝手に抱いていたイメージに、ぴったりフィットするエピソードにはなかなか巡り会えず、取材行はタフな作業だと知りました。実際に経験をしてみて、改めてエマさんが毎回脚本を仕上げる際の取材の労にも感服しました。

座員の皆さんからも、夜間中学の関連書籍や、関連舞台の紹介等、積極的な情報共有がどんどん活発になりつつあり、関心の高まりを感じています。

思い付きで始めた活動ですが、結果的に授業参観の機会にも辿り着き、ささやかにでも舞台創作に役立てばと願うばかりです。

アベ

稽古場日誌「あたらしい仲間」

今年度に入って3人の仲間が入団してくれました。女性お二人、男性お一人です。いつも、芝居はひとり出演者が変わったら、芝居全体が変わると思って配役しているのですが、座員も同じで、ひとりメンバーが加われば、劇団の決まり事や常識も変わることがあると思うようにしています。

以前「稽古場に自力で来られること」というのを、入団条件にしていましたが、何年も活動するうちに、体力も認知力も覚束なくなってしまった方がいました。帰りの電車を間違えてしまったり、出番を忘れてしまったり、本番中に全く違う衣装を着てしまったこともありました。もう難しいかな。。。と思ったのですが、稽古で台本を開けばキラキラとした目でセリフを語り、「お芝居大好きなんです」とおっしゃるので、そこから家族のサポートで一年近く通われました。稽古場でサポートすることが大変なこともありましたが、続けたいという気持ちでここまでできるのかと、もう存在自体が希望の塊でした。結局、送り迎えなさっていた家族の体調不良で、継続不可能になってしまったのですが、いろいろと模索すれば、やりたい気持ちは継続できるんですね〜!

今年度の新人さんは、まだ個性もよくわかっていませんが、個性を伸ばし、老いを武器にし、心身良く動かして、いい作品をつくっていきたいです。